最低賃金の引き上げが続いています。
2026年、
兵庫県は時給1,116円から1,172円へ。
大阪府は1,177円から1,231円へ引き上げられ、
いずれも2026年10月1日の発効が予定されています。
最低賃金は、正社員、パート、アルバイト、学生など、
働き方にかかわらず、
原則としてすべての労働者に適用されます。
そのため企業側は賃金を見直すタイミングとなり、社内の
調整に忙しくしている方もいるのではないでしょうか。
しかし、このタイミングは、企業側とスタッフ側の
向き合い方、そしてお互いの受け止め方に
よって、違いが生まれやすい時期でもあります。
企業側は「人件費が上がるなら成長してほしい」

月100時間働くスタッフを例として計算してみると、
兵庫県では月5,600円、大阪府では月5,400円の
賃金増加となります。
10人を雇用していれば、賃金だけでも
年間に直すと約65万円前後の負担増です。
そうなると、企業側に
「時給が上がるのだから、仕事のスピードや接客力も高めてほしい」
「これまで以上に責任を持ってほしい」
という思いが出てくる場合もあるのではないでしょうか。
しかし、最低賃金の引き上げは、スタッフの能力が
評価された結果ではなく、法律への対応です。
十分な説明がないまま、急に高い能力や責任を求めれば、
スタッフとのすれ違いが起こりやすくなります。
スタッフ側は「何を変えればよいの?」
スタッフにとって、時給が上がることは
うれしい出来事です。
「同じ仕事で時給が上がるならラッキー」
と感じる人もいるかもしれません。
一方、上司から突然
「時給が上がったのだから、もっと頑張って」
と言われても、何を変えればよいのかわかりません。
「具体的にどの仕事を覚える必要があるのか」
「何ができれば評価されるのか」
「頑張った先に、さらに昇給する仕組みがあるのか」
こうした点が示されなければ、
「仕事とプレッシャーだけが増えた」
と受け止められる可能性があります。
長く頑張っているスタッフほど不満を感じてしまう場合も
注意したいのが、既存のスタッフさんや、最低賃金アップの
話が出る直前に入ったスタッフさんの
気持ちや、モチベーションの部分です。
例えば、1,120円の時に入社して、3ヶ月頑張って
2026年10月を迎えて、1,180円になったスタッフ。
でも、10月以降に入ってきた新人さんは
最低賃金に則って最初から1,180円スタート。
この場合、スタッフさんの気持ちに
どのように向き合いますでしょうか。
そこを放置してしまうと、
これまで仕事を頑張って覚えてきた。
新人さんに仕事を教え、忙しい時間帯を支えてきた人が
「何年も頑張ったのに、評価されていない?」
と感じても不思議でしまう可能性もあります。
だからといって、既存スタッフ全員の時給を一律に
同じ金額だけ引き上げればよいとも限りません。
能力、役割、責任と社内の評価基準が合わなくなり、
人件費だけが増えてしまう可能性もあります。
企業にとって、非常に判断が難しく、
悩む場面となるのではないでしょうか。
原因は「二つの賃上げ」が混ざること

すれ違いが生まれる大きな原因は、
「法律に対応するための賃金改定」と
「能力や役割を評価する昇給」
が混ざってしまうことです。
企業は「支払う金額が増えた」と考え、その分
一気に能力や役割を求めたくなってしまいます。
スタッフは「法律が変わったから上がった」と考えます。
または、「評価された!」と考えた場合、
今後入ってくる後輩との時給バランスに
矛盾が生じてしまう可能性があります。
同じ賃上げを見ていても、
捉え方と感じ方、見ている視点が違うのです。
だからこそ企業は、最低賃金への対応と人事評価を分けて
説明し、どのような行動や成長を期待しているのかを
具体的に、そして丁寧に伝える必要があります。
賃金の変更を、対話のきっかけに
最低賃金の上昇は、給与計算の数字を
書き換えるだけの話ではありません。
企業にとっては経営の問題であり、スタッフにとっては
働く意味や評価に関わる問題です。
大切なのは、求めることを一方的に増やすのではなく、
賃金、役割、教育、評価の関係を整理し、
お互いの考えを伝え合うことです。
一般社団法人ホスピタリティCCでは、
スタッフへの伝え方や管理者の関わり方、
現場の声を生かした評価基準の言語化、
人財育成の仕組みづくりについて
ご相談を承っています。
「賃金をどのように説明すればよいかわからない。」
「新人と経験者の納得感をどうつくればいいの?」
「評価制度が現場で機能していない。」
とお悩みの企業様は、ぜひ一度ご相談ください。
最低賃金の引き上げを、
会社とスタッフがともに成長する機会へ
変えていきましょう☆
※2026年9月8日時点の記事のため、場合によっては内容が変更が入る場合もございます。あらかじめご了承願います。